2025/10/07

部活生を悩ませる疲労骨折の正体と予防策

 

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中高生のスポーツ活動において、突如として選手を襲う疲労骨折。練習量が増える中高生に多く、競技からの長期離脱を余儀なくされる可能性のある深刻なケガです。

疲労骨折は、一度に強い力が加わって折れる通常の骨折とは異なり、繰り返し小さな負荷が骨にかかり続けることで、骨の一部が耐えきれずに損傷してしまう状態を指します。いわば、ハードワークの代償とも言えるでしょう。

 

疲労骨折が起きやすい「弱点部位」

疲労骨折は、特に負担がかかりやすい、ほぼ決まった部位に発生します。主な発生部位と原因は以下の通りです。

1. 下肢(足・すね)の疲労骨折

 

足の第5中足骨(足の指の付け根付近): 走ったりジャンプしたりする際に大きな負荷がかかります。

すねの前面(脛骨): ランニングや繰り返し踏み込む動作が多い競技で、骨の表面が白く傷んでくる状態です(厳密には通常の骨折ではないが「疲労骨折」と称されることが多い)。

かかと膝の前なども発生しやすい箇所です。

 

2. 上肢(肘)の疲労骨折

 

肘(離断性骨軟骨炎): 野球など、投球動作で腕を酷使するスポーツ選手に見られます。

 

【共通する原因】

 

これらの部位に共通しているのは、筋肉や腱に引っ張られる力が骨に繰り返し加わることです。運動によって筋肉が強く収縮すると、骨に付着している部分が強く引っ張られ、そのストレスの蓄積が最終的に骨の損傷につながります。

 

競技人生を左右する疲労骨折のリスク

 

疲労骨折と診断された場合、その場所や程度にもよりますが、3ヶ月程度のスポーツ活動休止が必要となるケースが多くあります。

多くの中高の部活動は、夏休みをもって区切りとなることが多いため、疲労骨折で3ヶ月間を棒に振ることは、

・レギュラー争いからの遅れ

・技術向上の機会損失

・選手として活動できる期間(実質2年間程度)の短縮

など、競技生活において大きな痛手となります。「まさか自分が」となる前に、予防策を講じることが極めて重要です。

 

疲労骨折を防ぐための「アフターケア」と「初期対応」

 

疲労骨折を避けるために最も大切になるのが、運動後のクールダウンとアフターケアです。

 

1. 初期症状を見逃さない

 

第1段階: 運動後の筋肉の張りを感じる。

これはセルフケア(入浴で温めるなど)が有効な段階です。

第2段階: 特定の筋肉を使うと、骨折部位の近辺が痛む

これは危険信号です。この段階で適切に対処しなければ、確実に疲労骨折へと進行してしまいます。

 

2. 筋肉をほぐしても骨の痛みはすぐには消えない

 

痛みが現れ、ケアを始めて筋肉がほぐれたとしても、骨には引っ張られた「記憶」が残っています。そのため、筋肉が緩んでも骨の痛みがすぐには引かないことがあります。骨自体はケアできないため、患部を冷やすなどして対処し、時間差で回復を待つ必要があります。

 

3. 痛みが出たら「休養」が最優先

 

痛みが出てきた段階での最善策は、まず運動を休むことです。

・目安として2週間、練習を休止し、筋肉のケアだけを徹底します。

・骨にかかる負担が2週間なくなることで、痛みはスッと収まってくることが多いです。

疲労骨折に至る骨は、決まった筋肉に引っ張られることが原因です。そのため、ご自身の競技でよく使う筋肉がどこかを調べ、そこを重点的にケアすることで予防できます。

 

スポーツ損傷は「予防可能」なケガ

 

疲労骨折だけでなく、オスグッド、シーバー病、ジャンパー膝、野球肘、テニス肘など、多くのスポーツ損傷は、適切なケアさえ行っていれば防げるものです。

「なってからこんなはずじゃなかった」と後悔する選手がほとんどです。そうならないために、日々の練習後のケアをルーティン化し、身体の不調を感じたら専門家(医師やトレーナー)に相談するようにしましょう。

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