2025/05/06

リハビリが続けられない?「リハビリ難民」の現状とその背景

 

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病院でのリハビリを受けていたけれど、ある日突然「これで終了です」と言われ、まだ痛みや不安が残っているのに継続できる場がなくなった——そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

これは決して珍しい話ではなく、いま「リハビリ難民」と呼ばれる人たちが増えている現実があります。今回はその背景と、どうすれば適切なリハビリを続けられるのかについてご紹介します。

 

医療保険制度の壁:6ヶ月で「終わり」になるリハビリ

リハビリの提供には医療保険のルールが深く関係しています。たとえば、ある病気やけがの治療が10年かかる場合でも、医療保険で算定できるリハビリの点数は基本的に「発症・手術後6ヶ月」がピーク。その後は点数が下がっていき、病院にとっては「利益が出にくい患者」になってしまいます。

病院のリハビリ室にはキャパシティがあり、受け入れられる人数も法律で定められています。限られた枠の中で点数の高い、つまり「新しい患者」を優先せざるを得ない現実があるのです。

リハビリ難民とは?誰がなりやすいのか

このような仕組みによって、リハビリがまだ必要なのに打ち切られてしまう人々が「リハビリ難民」となってしまいます。

高齢者であればデイケアやデイサービスという介護保険サービスがありますが、若年層や働き盛りの世代にとっては受け皿が非常に限られているのが現状です。

特にスポーツ障害や手術後の機能回復など、長期的にフォローが必要なケースでこの問題は顕著です。例えば前十字靭帯断裂の手術を受けた場合、復帰までに9ヶ月以上かかることが一般的です。

しかし6ヶ月を過ぎると「自力でやってください」と言われてしまい、十分な回復を待たずに競技に復帰して再断裂する例も少なくありません。

介護保険を活用した選択肢:デイケアとデイサービスの違い

高齢者の場合は、デイケア(通所リハビリ)やデイサービス(通所介護)を利用することが可能です。どちらもリハビリを提供していますが、大きな違いはスタッフの専門性です。

  • デイケア:病院や医師がいる施設で、必ず理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が配置されています。機能回復に特化した支援が可能。
  • デイサービス:介護職員が中心で、リハビリ資格を持たないスタッフによる支援も多く、生活介助がメインです。

本格的な身体機能回復を目指すのであれば、デイケアの利用をおすすめします。

自費リハビリという新たな選択肢

公的保険でのリハビリが難しい場合、近年注目されているのが自費リハビリ施設の存在です。

理学療法士や作業療法士が医療保険に頼らず、自由診療でリハビリを提供している施設が全国で増えてきています。

ただし、自費だからこそ「質の見極め」が重要です。理学療法士にも美容師と同じように「上手い人」「そうでもない人」が存在します。まずは体験利用などを通じて、自分の身体に合ったプロフェッショナルを探すことが大切です。

最後に:あきらめずに選択肢を探そう

「リハビリ難民」という言葉は耳にすると不安になりますが、実際には解決の糸口もあります。病院のシステム上、すべてをカバーできないことも事実ですが、その外側に「自費リハビリ」や「質の高いデイケア」といった選択肢が増えてきているのです。

大切なのは、自分の身体の状態を見極めながら、最適な支援を選ぶこと。そして、「終わりです」と言われても、あきらめずに次のステップを探すことです。必要なリハビリを受けられる場所は、まだまだあります。

 

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