2025/06/16
筋肉の寿命と老化を防ぐ運動習慣のすすめ

赤ちゃんの頃から筋肉は成長している
人間の筋肉は、生まれたときから少しずつ発達していきます。ただし、ムキムキの赤ちゃんなんて見たことがありませんよね。最初に発達するのは、いわゆる体幹、つまりインナーマッスルです。これは自分の体を支えるための最低限の筋肉であり、赤ちゃんが寝返りを打ったり、お座りやハイハイができるようになるのも、体幹が安定してくるからです。
この体幹を基盤として、徐々に外側の筋肉――関節を動かすアウターマッスルが強くなっていきます。そして10歳、小学校4年生のころに初めて、アウターマッスルがインナーマッスルよりも優位になる“筋肉の逆転現象”が起こります。
筋肉のピークはいつ来るのか?
アウターマッスルのピークは、男女で異なります。
女性は20歳前後、男性は25〜26歳ごろが最も筋力が強くなる時期です。このピークは数年〜十数年維持されるものの、やがて下降線をたどることになります。
老化による筋力低下が始まるのは、女性で30歳前後、男性では35歳くらいが目安です。この時期から、筋肉は年間およそ1%ずつ減少していくといわれています。
なぜアスリートは若くして引退するのか?
プロのアスリートが30歳前後で引退するケースが多いのは、この筋肉の寿命とも関係があります。たとえば、女子ゴルフや卓球では、20代前半で活躍し、30歳前には引退する選手も少なくありません。男性選手も野球やサッカーでは、35歳を過ぎると引退を考えるようになります。
これは筋力のピークが過ぎ、パフォーマンスが低下してくるタイミングと一致しているのです。
筋力の低下が招く体の不調とは?
筋力の低下は、見た目だけでなく日常生活にも大きな影響を及ぼします。たとえば40歳を過ぎると、つまずきやすくなったり、ちょっと重い荷物を持っただけで肩や腰を痛めたりします。また、頭を支える筋肉が減ることで、肩こりや偏頭痛、姿勢の悪化、そして膝痛や腰痛、関節の変形など、さまざまな不調が出てきます。
さらに骨への刺激が減ると、骨粗しょう症のリスクも高まります。筋力が少ない人ほど、平均寿命に対して健康寿命が短くなる傾向もあります。
予防の鍵は「年代に合った運動」
こうした老化を予防するためには、自分の年齢と筋力レベルに応じた運動を行うことが大切です。たとえば、80歳の人が1日30分歩くのはしっかりとした運動になりますが、30歳の人が散歩をしてもほとんど運動効果はありません。
ありがちなのは、若い頃の感覚で急にハードなトレーニングを始めてしまい、疲れてすぐにやめてしまうケース。運動は継続が命です。長く続けるには、自分の体に合った無理のないトレーニングを選ぶ必要があります。
今から始める、筋肉の貯金
「歳を取ってから鍛えよう」と思っても、60歳や70歳から筋肉を大きく増やすのはほとんど不可能です。だからこそ、落とさないように今から「筋肉の貯金」を始めておくことが何より重要です。
目安としては、女性は30歳、男性は35歳を過ぎたら、筋力低下を意識し始めましょう。運動に迷ったときは、ジムのトレーナーや理学療法士など専門家に相談するのも一つの方法です。正しい知識と方法で、長く健康な体を維持していきましょう。
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