2025/08/26
手首の骨折は「治った」で終わりじゃない ― 正しい知識とリハビリの大切さ

手首の骨折には2種類ある
手首の骨折と一口に言っても、実際にはいくつかの種類があります。代表的なのが「コレス骨折」と「モンテギア骨折」です。前者は骨が上にずれるタイプ、後者は下に潜り込むように折れるタイプです。いずれも肘から指先にかけて走る筋肉の影響で、折れた骨が引っ張られてずれやすくなります。その結果、手首が動かなくなり、典型的には「プラーン」と力が入らない状態になります。
処置としては、骨の位置を引っ張って整復し、ギプスで固定するのが基本です。稀に骨が皮膚の外に飛び出す場合があり、その際は手術でプレートやビスを使い固定する必要があります。
骨はどうやってくっつくのか
折れた骨は自然に修復作用を持っています。骨と骨の隙間には“仮骨”と呼ばれる組織が出てきて、まるで木工ボンドのようにくっつけようと働きます。レントゲンで見ると、折れた直後は黒い隙間が見えますが、6週ほど経つと白いもやのように写り始め、約2か月でしっかり固定されます。
この時点でギプスは外されますが、すぐに完全復帰できるわけではありません。まずは半分に切ったギプスで添え木のように固定する「シーネ固定」へ移行し、10週ほどでようやく装具も取れて日常生活に戻る流れになります。
本当の回復はここから
多くの場合、病院での治療はギプスが外れるところで終わります。しかし、実際にはそこからが本当のリハビリの始まりです。2か月以上動かさなかった関節や筋肉は固まり、動かそうとすると痛みを伴います。人間は痛みを避ける習性があるため、「動かさない → 筋力が戻らない → さらに使えない」という悪循環に陥りやすいのです。
その結果、手を自由に使えるようになるまでに1年、場合によっては2年かかるケースも珍しくありません。特にスポーツをしている子どもや若者にとっては、長期間のブランクは大きな負担となります。
リハビリの重要性
手首の骨折後に必要なのは「可動域」と「筋力」をできるだけ早く取り戻すことです。リハビリ専門職は、痛みを最小限に抑えつつ動かす方法を知っていますが、自己流ではどうしても「痛いからやめる」方向に傾いてしまいます。結果として、回復が大幅に遅れてしまうのです。
骨がついたからといって治療が終わったわけではありません。待っているだけでは動く手首は戻ってきません。早期から専門家の指導のもとでリハビリを行うことが、日常生活やスポーツへの早期復帰につながります。
まとめ
手首の骨折は命に関わることは少ないものの、「ギプスが外れたら治った」と思い込むのは危険です。可動域を取り戻し、筋肉を再び使えるようにする過程が、真の回復への道です。もし骨折した際は、医師の治療に加えて、リハビリの重要性を理解し、専門家と二人三脚で進めることを強くおすすめします。
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