2024/12/02

【脊椎分離症】成長期の子どもに多いスポーツ障害の実態と予防法

 

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近年、成長期の子どもたちの間で増えているスポーツ障害のひとつに「脊椎分離症」があります。この障害は一見馴染みがないように思えますが、実は非常に身近な問題で、特に運動をする子どもたちに多く見られるものです。本記事では、脊椎分離症の概要、原因、そして予防法について詳しく解説します。

脊椎分離症とは?

脊椎分離症は、その名前からはわかりにくいですが、実際には「骨折」の一種です。具体的には、背骨の構造の一部にひびが入ったり、場合によっては完全に分離してしまったりする状態を指します。この骨折は背骨の突起部分(極突起や大突起など)で発生することが多いです。

驚くべきことに、脊椎分離症は一時的な痛みを伴うものの、しばらくすると日常生活では痛みを感じなくなることがあります。そのため、痛みを軽視して運動を続けてしまい、結果として症状が悪化するケースが少なくありません。

発症の主な原因

脊椎分離症は特に成長期の子どもたちに多く見られます。原因として大きく挙げられるのが「反り腰」です。

反り腰の影響

反り腰は、背骨が不自然に反った状態になることで、背骨の後方部分に過剰な負荷がかかります。この状態が長時間続いたり、運動でさらに負荷がかかったりすることで、背骨の突起部分にひびが入る、あるいは骨が完全に分離してしまうのです。

筋力のバランスの問題

また、運動時に筋力が重要であるにもかかわらず、体幹(インナーマッスル)が十分に使われず、主に背筋(表層筋)に負担がかかることも原因の一つです。これにより、体が安定しない状態で運動を続けることで、反り腰が助長され、脊椎分離症が発生しやすくなります。

子どもの成長と筋肉の関係

脊椎分離症の発症には、子どもの成長段階における筋肉の発達が関与しています。小学校低学年のころは、遊びを通じて自然とインナーマッスルが鍛えられるため、筋肉が体を支える役割を果たしています。しかし、小学校高学年から中学生にかけて表層筋(大きな筋肉)が発達してくると、インナーマッスルが弱体化しやすくなります。

このタイミングで激しい運動を行うと、体幹の弱さが背骨への負担を増加させ、結果的に脊椎分離症を引き起こしやすくなるのです。

脊椎分離症の予防法

 

脊椎分離症は、適切な予防策を講じることで発症リスクを大幅に減らすことができます。

1. 体幹(インナーマッスル)の強化

運動を始める小学校中学年から高学年の時期には、インナーマッスルを重点的に鍛えるトレーニングを取り入れることが重要です。インナーマッスルを鍛えることで、体全体のバランスが向上し、背骨への負担を軽減できます。

2. 正しい姿勢の習得

反り腰を防ぐために、普段から正しい姿勢を意識することが大切です。特に運動中は、フォームが崩れないように指導を徹底することが必要です。

3. 過度な負荷を避ける

運動の強度が高すぎる場合、成長期の骨や筋肉に過剰な負荷がかかる可能性があります。特に長時間の練習や負荷の大きいトレーニングは注意が必要です。

脊椎分離症になってしまった場合

 

脊椎分離症を発症してしまった場合、適切な治療と休養が必要です。一般的には、最低でも半年間は運動を休むことが推奨されます。また、骨が安定するまでは痛みを伴う運動を避けることが大切です。

痛みが収まった後も、再発防止のために反り腰の矯正や体幹トレーニングを継続的に行うことが求められます。専門の施設でリハビリやトレーニングを受けることで、より早い回復と再発防止が期待できます。

 

まとめ

 

脊椎分離症は、一見目立たないものの、成長期の運動をする子どもたちにとって大きなリスクとなり得るスポーツ障害です。しかし、正しい知識を持ち、予防策を講じることで、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。

もしお子さんが運動を始める年齢であれば、インナーマッスルの強化や正しい姿勢の指導に取り組んでみてください。また、万が一症状が出た場合は、焦らず適切な治療を受けることが重要です。

健康的にスポーツを楽しむために、今一度体の使い方を見直し、脊椎分離症を予防していきましょう!

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